2022年 12月 10日
報告:原発賠償京都訴訟 第16回控訴審期日報告集会 |
原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会事務局の上野と申します。12月7日に行なわれた京都訴訟の控訴審第16回口頭弁論の報告です。長文、重複、ご容赦ください。




当日は、12時30分に大阪高裁の東門付近で宣伝行動を行ないました。原告がマイクを握り、6月17日の最高裁判決批判と原発賠償京都訴訟への支援を訴え、支援者は散らばってチラシを配り公正判決署名への協力を呼びかけました。
13時で宣伝行動を終え、原告と支援者で第12民事部へ行き、第5次集約分の署名を提出しました。団体署名が15団体、個人署名が1697筆で、それぞれ累計は103団体、14580筆となりました。
今回の特徴は、力を入れて取り組んだ大阪高裁の裁判官宛てのメッセージ付き署名が229筆も集まったことでした。そのあと原告と支援者で入廷行進を行ない、正門から大阪 高裁に入り直しました。今回は直前になって「抽選なし」との連絡が入り、先着順でしたが、宣伝不足かコロナの影響か、80席の傍聴席を埋めたのは約50名の支援者にとどまりました。

法廷では、原告側代理人が6月16日に出された先行4訴訟(生業、群馬、千葉、愛媛)に関する最高裁判決を批判する2つのプレゼンを行ないました。1つは、2003年に発表されたIAEA(国際原子力機関)の安全指針にすでに防潮堤以外に防水(水密化)が推奨されていたこと、その指針の執筆陣に東電の酒井という社員が加わっていたことを明らかにしたもの(鈴木順子弁護士)、もう1つは、もし防潮堤を建設していたとしても津波の浸水を防げなかったとした最高裁の判断の間違いを指摘したもの(森田基彦弁護士)でした(プレゼンの詳細については別途報告します)。閉会間際に田辺弁護士が国側代理人に厳しく質問する場面がありましたが、その背景について報告集会で田辺弁護士自ら説明されたので、そちらを参照ください。
今後の期日日程については、次回が来年3月2日(木)、次々回が6月6日(火)のいずれも14時30分開廷と決まりました。閉廷後、中央公会堂大会議室で報告集会が行なわれました。以下、各発言を事務局の責任でまとめました。
●主催者あいさつ
・川中宏弁護団長
最高裁判決の批判を森田弁護士が非常にわかりやすくプレゼンしてくれた。結局、この最高裁判決は高邁な理論があるわけではなく、事実認定の誤りだ。水密化の問題も津波の襲来の方向についても誤った事実認定をして結論を出しているので、それは最高裁判決の弱みだ。今後、高裁判決でどんどん覆って行くだろう。
来夏を過ぎた辺りからいよいよ私たちが出した証人の立証に入るということで、頑張っていきたい。

・橋本宏一支援する会共同代表
今日は東門での宣伝行動から参加した。
裁判は法廷の中だけではなくて、外で国民が裁判をどう見ているのかを示すことが大事だと思う。署名集めは必ず会話をしなければならないので、多くの市民の方が原発賠償についてどう思っているのかという会話が成立する。
今日、法廷が始まる前に原告と支援者で第12民事部に行って、署名を提出した。その際に、「この署名には皆さんのメッセージが込められているので、ぜひ裁判官に読んで頂くようお伝えください」と言葉を添えた。多くの市民がこの裁判についてどう思っているのか、多くの市民が最高裁判決は不当だという声を上げていることを裁判官に伝えることが大事だ。
●弁護団報告
・田辺保雄弁護士
今日の進行協議で、来年6月まで期日指定されたが、それまでに「出すべき書類は全部出してください」という訴訟指揮があった。これは、結審を考え始めた証拠だ。
今日鈴木先生がプレゼンをしてくれたIAEA(国際原子力機関)の安全指針に関する準備書面は京都訴訟が初めて出すものだと思う。最高裁は国の主張に乗っかって、いわゆるドライサイト論(防潮堤以外の津波対策はなかった)を前提に判決を書いた。出だしから間違っていることを説明した。
面白かったのは、2011年の改訂版の執筆陣に日本人もいて、東京電力の酒井の名前がある。この人は東北電力などに「新しい知見を取り入れないようにしてくれ」と働きかけた人。他にも巨大津波は予見できなかったと証言した研究者が名前を連ねている。知らなかったとは言わせないというのがポイントだった。

・森田基彦弁護士
最高裁判決は結果回避できなかったという。津波浸入対策としては、①防潮堤と②浸水した場合を想定した水密化、高所化の2つある。
防潮堤に関しては、東電が検察庁の取り調べに応じて事故後に作った防潮堤の設計図(水面から22mの箇所もあれば12・5mの箇所もある)を持ち出して、そういうギザギザの防潮堤を造っていたとしても浸水を防げなかったというのが国の主張で、最高裁はそれに乗っかった。
また、当時は防潮堤で防ぐのが一般的で、水密化等については議論されていなかったという東電や国の主張を採用した。
大阪高裁で過去にもプレゼンした(3月の第13回期日)が、国も関与した場で水密化の議論がされてた事実をこれでもかと提示した。
・白土哲也弁護士
損害班の取り組みとしては、まず東電が、「そもそも法律上保護された権利侵害がなかったんじゃないか、避難継続の相当性がなかったんじゃないか」と各原告の陳述書に個別に反論をしてきた。それに対して、世帯ごとの再反論作成に取り組んできた。
すべての原告世帯に担当弁護士が連絡をとり、事実を確認するなどして、再反論を作成する。そういう作業を1年以上やってきて、今日でほぼ提出できた。
一審の裁判官には全世帯の原告の声を聞いてもらったが、高裁では何人かをピックアップして裁判官に直に話を聞いてもらう機会を設けようと取り組んでいる。
●国とのやり取りについての補足説明
・田辺弁護士
法廷での国とのやり取りを説明しておきたい。東電は「新弁済の抗弁」という、大変けしからん主張をしている。最初の頃は、「中間指針を超える損害はない」と言っていた。2年くらい前から「払い過ぎだ」、「自主的避難等対象区域の人たちのほとんどは賠償なんかもらう資格はない」と言い出した。
さらに半年くらい前から、国がこの東電の主張を援用すると言い出した。今日の進行協議で、国の代理人が「援用するのは間違いないので、準備をしといてください」と言ったので、こういう状況を皆さんにも知ってもらうために敢えて法廷で質問した。
原賠審はいま中間指針の見直し作業に入っているが、その席に担当副大臣(文科省)が出席して、「中間指針を超える損害はないというようなことを言うのは良くない」という趣旨のことを喋っている。これと国の代理人が東電の主張を援用するというのはまったく矛盾する。
これについては求釈明申立書を出し、説明を求めていく。
●原告あいさつ

・川崎さん
今日はチラシを配る所から参加した。淀屋橋でやっている時よりも、チラシの受け取りが良くて、人数は少なかったが沢山受け取ってもらえたので、場所によってこんなに違うのかと思った。私ができることといえば、チラシを配ったり署名を集めたりするぐらいなので、これからもしっかり頑張っていきたいと思う。
・福島さん
最近の動きとしては、田辺先生が代表になって頑張ってこられた国連特別報告者の訪日調査を実現する会の活動がようやく陽の目をみた。京都訴訟はあと1年半くらいで決着することになりそうだ。原告は少し息切れ気味だけど、皆さんの支援のお蔭でここまで来れた。私たち一人ひとりの救済無くして全体の救済もないので、原告の本人尋問はやり遂げたい。3人の原告を申請し、私もその中に入るのでご支援を。
・小林(雅)さん
今日は裁判所の東門で街宣活動をした。わざわざ車を止めて署名をしてくれた方がいた。淀屋橋では冷たい反応が多かったが、こちらは人通りは少ないけど反応が良くて励みになった。大阪高裁に向かって「まともな人だったら、最高裁みたいな判決は出しませんよね」なんて、裁判官に聞こえたかどうかは分からないが、叫んでみた。
最近東京の全国連の集まりに行って、びっくりすることがあった。いわき市民訴訟の方が言うには、避難者訴訟で東電が「最高裁が国に責任がないと言うんだから、東電も責任はない」と言い始めたとのこと。こんな調子こいてる奴に負けてられない。最高裁判決を覆して4訴訟の怨みを晴らしたいので、ぜひ協力を。
・菅野さん
今日、最高裁判決について弁護団の先生たちが、何が問題か、何が間違っているか指摘してくれたことに感謝したい。私たちが相手にしているのが東電という大きな会社、国という大きな組織。でも人が代わり、中身のないものと闘っているといつも感じている。私たちはそれぞれの生活を抱え、仕事を抱え、何年も一緒に闘っているが、逃げ場所がない。でもあの人たちは、今日も田辺先生の質問に対しても、「いつも逃げれるんだなあ」と感じた。だけど裁判というステージでは、決して逃がすことなく、ちゃんと向き合って欲しいと強く思った。
・明智(礼)さん
京都の大学に行くことが決まった直後に原発事故が起きた。私の生まれ育った家は何百年も続く農家だが、農地も汚染されてしまって、家も私の代で終わるだろう。この重さをずっと抱えてきて、本来やりたかった勉強ではなく、自分の方向性も原発事故のことを勉強して、いま大学院生をやっている。でも沢山の人とつながることができて、今日も院生仲間が応援に来てくれていたり、当時未成年だった私たちの話をさせてもらう大学の先生も来てくださり、ありがたく思っている。私たちが声をあげることが、甲状腺がんを発症した人やウクライナの人たちともつながることになるのかなと思うので、頑張っていきたい。
・齋藤さん
避難してから避難者支援の仕事に関わってきた。福島県や京都府などから補助金を受けてやってきたが、福島県の補助金がバッサリ切られたため「なごみ」を辞めることになり、別の仕事に就くことになった。新たな仕事は事務で苦労しているが、同年代の人もいるので、頑張って取り組んでいる。
福島県とは闘ってきたが、何やってもだめで。県は、本当に人なのかなということを平気でして来る。避難した人はもう福島県民じゃないみたいな扱いで。
もう、この裁判しか闘う場がない。私は裁判していることを子どもにちゃんと言えてないが、裁判をしていることを誇りに思って頑張りたい。

●特別報告者の訪日調査について〉
・田辺弁護士
2018年にセシリア・ヒメネスダマリーさんという国連特別報告者が日本政府に対して、訪日調査をしたいというリクエストをされた。ところが政府は3年間放置した。そういう状態が分かったので、昨年8月に80以上の団体の賛同を得て、外務省に早く受けいれるよう求める要望書を出した。
普通は国際NGOがやるんだけど、有志で「実現する会」を作り、市民活動で訪日調査を実現した。国会議員も動いてくれて、政府も逃げられなくなった。いろんな研究者にも協力してもらい、無事調査も終わり、「調査終了後のステートメント」も発表された。1月8日にその報告会をやる。専門家2人が講演するので、ぜひご参加を。
・守田敏也さん
実現する会の代表を田辺さんが、副代表を僕と奥森さんが務めた。ステートメントは素晴らしいので、ぜひ読んで欲しい。セシリアさんは最初のところで「沢山の避難民から話を聞き、心を揺さぶられた」と書き、「強制避難民」も「自主避難民」も等しく「国内避難民」であり差別してはいけないと書いている。また避難者は失業者が多い、離婚した人もいる、それなのに住宅から追い出すとは何事だ、ちゃんと保護しなさいと書いてくれた。僕がこだわっている「放射線副読本」についても、放射線被ばく影響を小さく見せていると指摘している。あれだけの短期間の聞き取り調査でこういう報告を出すのは大変な作業だったと思うが、避難者の思いが彼女を動かしたんだと思う。
問題は、これをどう活用するかだ。「武器としての国際人権」、これをもっと使って、私たちの権利を拡大していこう。

・園田さん(Zoom)
京都訴訟の皆さんの支援があって、私は過去何度も国連に足を運んでいる。国連人権理事会の活動には2つの柱があって、1つが特別報告者の特別手続きによる情報提供要請など、もう1つがUPR(定期的に国連加盟国について審査し、加盟国が被審査国に対して勧告を出す制度)。2017年に4か国(オーストリア、ポルトガル、ドイツ、メキシコ)から原発事故に関する勧告が出た。この時もジュネーブに飛んで、各国政府代表者に避難者の状況を伝えた。
今回は11月30日に日本に対するプレセッションがあり、その一週間にジュネーブに飛んで、各国の代表者に状況を伝えて、勧告を出してくれるように要請してきた。その際、「私の後ろには何千人もの避難者、被害者がいることを感じてください」と訴えた。勧告は来年1月末に発表される。
そのあと、全国支援ネット事務局長の岸本さんから原発裁判をめぐる情勢の報告、反原発新聞の末田さん、原告の明智(礼)さん呼びかけのZOOMでの集まりに参加している大学院生があいさつをして集会を終えました。
次回はより多くの方に傍聴参加いただけることを期待しています。

by shien_kyoto
| 2022-12-10 16:35
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