2021年 01月 31日
【原発賠償京都訴訟】第8回控訴審(大阪高裁)期日の報告 |
1月14日の控訴審第8回期日に参加された皆さま、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会事務局の上野です。
コロナの影響で傍聴席が制限され、当会も傍聴支援の訴えを抑制し、模擬法廷をZOOMで発信する措置を採る中で、原発賠償京都訴訟の控訴審第8回期日が大阪高裁で開催されました。
前日に大阪・京都・兵庫に対して緊急事態宣言が発令された影響もあり、実際に大阪高裁で抽選券交付に並ばれた支援者(スタッフも含む)は27名。傍聴席36に達せず、全員傍聴となりました。遅れて来られた方もおられ、30名ほどが傍聴しました。原告の出廷も4名と過去最低で、いつもは入廷行進を行なうのですが、原告も支援者も少ないので、裁判所前で一緒に記念写真を撮ったあと、裁判所に入りました。

法廷では、裁判長が昨年末に交代したのを受けて、原告側だけでなく、被告・国も東電もプレゼンを行ないました。
原告側のプレゼンは、◆中間指針は被害の実態を反映していない(井関弁護士)、◆因果関係・原判決の誤りについて(高木野衣弁護士)、◆健康に対する権利侵害(社会権規約)を考慮すべき(清洲真理弁護士)の3本でした。その内容については、別途報告させて頂きます。
そのあと、被告・国も責任論についてプレゼンしましたが、ほとんどがこれまでの主張の繰り返しで、9月30日の生業訴訟控訴審判決(仙台高裁)で退けられたことばかりでした。
被告・東電は50分も使って、中間指針については区域ごとに最も損害が大きい方に合わせて賠償額を設定したので、大多数の被害者は救済されるはずだと主張。自主的避難等対象区域については、当時の新聞記事を示しながら、どこそこの自治体は安全だと言っていたとか、大半の人は避難せずに生活し続けたなど、あたかも避難する必要もないのに勝手に避難したと印象づけるようなことを喋り続けました。そして、裁判官に対しては、個別には実際の損害以上に払っている人もいるので、その点を考慮してほしいと訴えました。
東電代理人のプレゼンにはみんな頭に来ていたと思いますが、突然田辺弁護士が発言を求め、東電代理人に2つの点について確認を求めました。
1つは、口頭説明資料には「『中間指針等に定める賠償額=類型的に想定しうる最大限の賠償額』とするための仕組み」とか、「各項目で、大多数の被害者の被害を補填する高水準の賠償額が支払われるよう仕組みを構築」と記載されているが、この仕組みを構築した主体は誰なのか、ということ。これに対し東電代理人は「東電です」と答えました。
もう1つは、「自主的避難等対象区域の住民の大多数について違法な権利侵害が発生していないと考えられる」というのは、誰の考えなのか、ということ。それに対し東電代理人は「東電です。原賠審が、自主的避難等対象区域の住民について、どのように考えているかは知らない」と答えました。
それに対し田辺弁護士は、「これまでの主張と違うのではないか」と追及し、裁判長も東電に対して「これまでに提出したどの書類のどこに書いてあるのかを整理して提出してください」と命じ、閉廷しました。
なお、次回期日は3月18日(木)14時30分から、次々回は6月17日(木)14時30分からと決まりました。

今回は、事前にお知らせしたとおり、報告集会は取りやめましたが、別会場から模擬法廷として事前に録画したプレゼン動画をZoom で配信しました。そちらも、現地に来られなかった原告さんや他訴訟の原告さん、支援者の方など30名ほど参加されて、Zoom を通じて交流されたようです。
by shien_kyoto
| 2021-01-31 15:17
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