2017年 11月 21日
京都府職労連定期大会(11月18日)での京都訴訟原告・堀江さんの訴え |
私は福島第一原子力発電所の事故により、6年前に福島市から京都市へ避難してきた避難者で、原発賠償京都訴訟の原告でもあります。私がなぜ避難してきたのか一言で言いますと、放射能による被ばくで、子どもたちの健康に何か影響が出るのではないかと不安に思ったからです。低線量被ばくの影響はまだ解明されていない、子どもだけではなく、次の世代への影響もあるかもしれないということが心配で、危険を避けようと思い避難することを決め、京都へ来ました。
私が住んでいた福島市は福島第一原子力発電所から69キロくらいのところですが、私たちが今いるここ京都府庁は高浜原発から60キロ、大飯原発からは58キロくらいと、私が避難しようと思った距離より、ここは原発に近い場所です。現在、高浜原発3号機と4号機が稼働中ですが、もしも原発事故が起きたらと考えると、決して遠いところの話ではないということがわかると思います。
今日は2つお願いがあって参りました。一つは署名のお願いでもう一つは原告の手記集のことです。
原発賠償京都訴訟のこの裁判は、東京電力と国に対して損害賠償を求めている裁判で、4年前に提訴しました。今年9月に結審となり、来年3月には判決が出ます。全国30箇所で同じような裁判が行われており、原告は合わせて1万人を超える規模になっています。
京都のこの裁判では、賠償させることだけを目的としているのではなく、事故を引き起こした責任を追究し明らかにすること、法定被爆限度である年間1ミリシーベルトを遵守させ、「避難の権利」を認めさせること、そして、原発事故被災者全員に対する放射能検診、医療保障、住宅提供、雇用対策などの恒久対策を国と東京電力に実施させることを目的としています。私も、原発事故の原因、事故がなぜ起きたのか、どうして正確な情報が早く伝えられなかったのか真実が知りたいと思ったのと、東京電力と国に責任を認めさせたいという思いから原告になりました。
今年の春からこれまで、群馬や千葉、福島の生業訴訟と判決がでましたが、各裁判所により国や東電の責任について判断が分かれています。私は、一つ一つの裁判で前進できるような内容の判決を出してもらいたいと思っていますが、この裁判で勝つためには、どれだけ多くの方が注目しているか、関心があるのかが大きく影響すると言われています。この公正な判決を求める要請署名は、3万筆を目標にスタートしましたが、現在2万筆を超えたところです。3月の判決まで毎月裁判官に集まった署名を提出して、たくさんの人が注目していることをアピールしたいと思いますので、ぜひご協力ください。
次に原告の手記集のことですが、「私たちの決断、あの日を境に」という本購入のお願いです。私たちは裁判長の意向で、ほぼ全世帯が大法廷の証言台に立ち、本人尋問を行いました。それぞれが避難の経緯や家族との葛藤、健康状態など様々な不安や苦痛、被害について訴えました。短い時間ではなかなか自分の思いを伝えきれないところもありましたが、原告32名がそんな思いも含めて書いた、生の声がつまっている本です。名前や顔も出して裁判をするというのは、リスクもあり覚悟がなければできないことですが、私たちは当事者が声を上げなければならない、なかったことにはさせないというような思いで闘っています。
良い判決のためにというだけでなく、すべての人の命が守られ安心して暮らせるような社会にしていくためにも、一人一人が自分のこととして考え、関心をもつことが大切だと私は思いますので、この原告の手記集をぜひ読んでいただいて、様々な問題に対して自分のこととして考えるきっかけの1つにしていただけたらと思います。
最後になりますが、10月に原告の一人が、ジュネーブで開かれた国連人権理事会でスピーチを行いました。その人権状況審査で、ドイツ、オーストリア、ポルトガル、メキシコの4つの国が、原発事故被害者の暮らしが守られるよう、正式に日本政府に対して、支援政策の是正を勧告しました。国連人権理事会が正式に日本政府に是正を勧告するレポートを発表するのは来年3月ですが、判決と一緒にぜひ注目してください。よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
by shien_kyoto
| 2017-11-21 00:07
| 共闘関係
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Comments(1)
Commented
by
あつてぃ
at 2017-11-21 22:39
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避難から、提訴、今までの裁判のポイントをコンパクトに訴えた堀江さん!ありがとうございました。世界からもこの事件についての注目が高まっている中で、私たちの裁判がどれだけ重要なものか。気が引き締まる思いです。
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