2016年 12月 20日
【報告】第20回期日(原告本人尋問)の報告です! |
みなさま
原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会事務局の上野と申します。
遅くなりましたが、12月14日の京都訴訟第20回期日の報告です。長文、ご容赦ください。
◆1日の流れ
予想した通り、これまでで最高の140人の方が傍聴に集まってくださいました。抽選に外れた時点で帰られた方もおられ、事務局で用意した「抽選で外れた方はこちらに」という案内の下に集まった方が20名ほど。当たった方のうち「午後は残れない」という方が、事務局で把握できた限りで6~7人という状態でした。
外れた方には、午後から空く席は10以下であることを知らせ、それでも再度チャレンジしたい方は12時45分までに弁護士会館の地階大ホール(食事場所として確保)に集合するよう告げ、いったん解散していただきました。
10時15分開廷。今回証言台に立ったのは、①避難指示区域から避難した福島さん②家族分離での避難となった吉野さん③家族全員で避難した菅野さん④避難指示区域外から避難者した川﨑さんの4人。原告本人尋問は、それぞれの代理人からの質問に答える形で進行しました。
吉野さんへの主尋問が終わったところで、いったん昼休み休廷となりました。法廷を出たところで、事務局スタッフが「帰る方の傍聴券を回収しています」という紙を掲げ、傍聴券を回収した結果、その時点で帰られたのはわずか7名でした。
弁当を持参したり、パンなどを買って来られた傍聴者の方は弁護士会館の地階大ホールに移動。なかには、自分が食べる以上のおにぎりやおかずを持ってこられた方もおられ、和気あいあいと昼ご飯を食べておられるテーブルもありました。
12時45分までに傍聴券を希望して集まられたのは13名。7枚の傍聴券より多いので抽選となりました。抽選方法は、まず集まられた方々に整理券をお渡しします。渡した番号と同じ番号を抽選箱に入れ、そこから7枚抜き取り、出てきた番号を持っておられる方が当選となります。前回の期日報告集会でお渡ししたメモに「13時までに集合ください」と書いていたため、抽選後に来られた方が3人ほどおられました。前回期日の後、部屋を13時に返さなければいけないなどの事情で、直前の事務局からのメールでは「12時45分」とお知らせしたのですが、伝わらなかった方には大変申し訳ないことをしました。
13時10分から再開。吉野さんへの反対尋問と残る2人への尋問が行われました。16時30分閉廷の予定でしたが、かなり時間オーバー。それでも途中で帰る人はほとんどなく、最後まで傍聴席から原告に応援の〝気〟を送り続けました。
◆原告本人尋問
原告の証言にはプライバシーに関わる問題も含まれるため、詳細な報告は控えさせていただきますが、4人の原告は、避難を決意した理由について「新聞でプルトニウムが検出されたという記事を読み、メルトダウンしていると判断したから」、「子どもの健康被害と不安を取り除くため。東電と国からの情報に対する不信感があった」、「10月に米国が出した勧告。原発から80キロ以内に1年以上住んではいけないというもの」、「行政の情報は信用できなくなっていたので、自分の判断で決めた」などと証言。いまも戻らない理由については「事故が収束していないから」、「今年の夏に実家の線量を測ったら0.16μSV/hだった」、「除染が終わっている所(森合公園内)でも、地上10センチでは1.21μSV/時あった。これは放射線管理区域の2倍以上だ」、「事故前のきれいな状態に戻ってない」、「最近弁護団が家の近くの土壌を調べたら1700ベクレル/㎏(換算すると約11万ベクレル/㎡)。とても戻れないと思った」などと毅然と証言し、傍聴席を埋めた支援者に感動を与えました。
被告側代理人による反対尋問は、証言や陳述書における数字や日付の間違いなど当然の指摘を除くと、以下のような質問が目立ちました。
・「だれそれさんの話を聞いて避難しなければと思った」という類の証言に対して、「その人は放射能の専門家ですか?」と質問
→「放射能の専門家」以外の人の話は科学的な根拠がないという印象を与えるのが狙い。
・健康被害の症状について、医者に行ったかとか診断書はあるかと質問
→「行ってない」とか「診断書はない」と答えれば、証拠にはならないと印象づけるため。
・診断書には放射線が原因と書いてあるかとの質問
→診断書がある場合に、その効果を打ち消すためにあえて質問してくる感じ。
・自分でデータを調べたりしていた人に、事故前から反原発の活動をしていたかという質問
→そういうことをする人は特定の思想を持っていると印象づけたいのか。
・周囲で避難した人はいたかという質問
→「いない」という答えを引き出し、避難した方が特殊だと印象づけるため。
・両親や家族が残った場合は、なぜその人たちは避難しなかったのかという質問
→これも、避難しないと考える人の方が普通で、避難した方が特殊だと印象づけるため。
・市の広報紙に放射線量が出ているが、見ているかという質問
→線量は下がってきており、もはや避難を続ける理由はないと印象づけるため。
これらの質問は意図が見え見えで、あまり成功していたようには思えませんでした。
1月13日(金)の原告本人尋問、1月27日(金)と2月17日(金)の専門家証人尋問までは、今回のような傍聴が続くことが予想されます。わざわざお出かけいただいて午前・午後とも抽選に外れた方には大変申し訳ありませんが、なにとぞご理解ください。
原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会事務局の上野と申します。
遅くなりましたが、12月14日の京都訴訟第20回期日の報告です。長文、ご容赦ください。
◆1日の流れ
予想した通り、これまでで最高の140人の方が傍聴に集まってくださいました。抽選に外れた時点で帰られた方もおられ、事務局で用意した「抽選で外れた方はこちらに」という案内の下に集まった方が20名ほど。当たった方のうち「午後は残れない」という方が、事務局で把握できた限りで6~7人という状態でした。
外れた方には、午後から空く席は10以下であることを知らせ、それでも再度チャレンジしたい方は12時45分までに弁護士会館の地階大ホール(食事場所として確保)に集合するよう告げ、いったん解散していただきました。
10時15分開廷。今回証言台に立ったのは、①避難指示区域から避難した福島さん②家族分離での避難となった吉野さん③家族全員で避難した菅野さん④避難指示区域外から避難者した川﨑さんの4人。原告本人尋問は、それぞれの代理人からの質問に答える形で進行しました。
吉野さんへの主尋問が終わったところで、いったん昼休み休廷となりました。法廷を出たところで、事務局スタッフが「帰る方の傍聴券を回収しています」という紙を掲げ、傍聴券を回収した結果、その時点で帰られたのはわずか7名でした。
弁当を持参したり、パンなどを買って来られた傍聴者の方は弁護士会館の地階大ホールに移動。なかには、自分が食べる以上のおにぎりやおかずを持ってこられた方もおられ、和気あいあいと昼ご飯を食べておられるテーブルもありました。
12時45分までに傍聴券を希望して集まられたのは13名。7枚の傍聴券より多いので抽選となりました。抽選方法は、まず集まられた方々に整理券をお渡しします。渡した番号と同じ番号を抽選箱に入れ、そこから7枚抜き取り、出てきた番号を持っておられる方が当選となります。前回の期日報告集会でお渡ししたメモに「13時までに集合ください」と書いていたため、抽選後に来られた方が3人ほどおられました。前回期日の後、部屋を13時に返さなければいけないなどの事情で、直前の事務局からのメールでは「12時45分」とお知らせしたのですが、伝わらなかった方には大変申し訳ないことをしました。
13時10分から再開。吉野さんへの反対尋問と残る2人への尋問が行われました。16時30分閉廷の予定でしたが、かなり時間オーバー。それでも途中で帰る人はほとんどなく、最後まで傍聴席から原告に応援の〝気〟を送り続けました。
◆原告本人尋問
原告の証言にはプライバシーに関わる問題も含まれるため、詳細な報告は控えさせていただきますが、4人の原告は、避難を決意した理由について「新聞でプルトニウムが検出されたという記事を読み、メルトダウンしていると判断したから」、「子どもの健康被害と不安を取り除くため。東電と国からの情報に対する不信感があった」、「10月に米国が出した勧告。原発から80キロ以内に1年以上住んではいけないというもの」、「行政の情報は信用できなくなっていたので、自分の判断で決めた」などと証言。いまも戻らない理由については「事故が収束していないから」、「今年の夏に実家の線量を測ったら0.16μSV/hだった」、「除染が終わっている所(森合公園内)でも、地上10センチでは1.21μSV/時あった。これは放射線管理区域の2倍以上だ」、「事故前のきれいな状態に戻ってない」、「最近弁護団が家の近くの土壌を調べたら1700ベクレル/㎏(換算すると約11万ベクレル/㎡)。とても戻れないと思った」などと毅然と証言し、傍聴席を埋めた支援者に感動を与えました。
被告側代理人による反対尋問は、証言や陳述書における数字や日付の間違いなど当然の指摘を除くと、以下のような質問が目立ちました。
・「だれそれさんの話を聞いて避難しなければと思った」という類の証言に対して、「その人は放射能の専門家ですか?」と質問
→「放射能の専門家」以外の人の話は科学的な根拠がないという印象を与えるのが狙い。
・健康被害の症状について、医者に行ったかとか診断書はあるかと質問
→「行ってない」とか「診断書はない」と答えれば、証拠にはならないと印象づけるため。
・診断書には放射線が原因と書いてあるかとの質問
→診断書がある場合に、その効果を打ち消すためにあえて質問してくる感じ。
・自分でデータを調べたりしていた人に、事故前から反原発の活動をしていたかという質問
→そういうことをする人は特定の思想を持っていると印象づけたいのか。
・周囲で避難した人はいたかという質問
→「いない」という答えを引き出し、避難した方が特殊だと印象づけるため。
・両親や家族が残った場合は、なぜその人たちは避難しなかったのかという質問
→これも、避難しないと考える人の方が普通で、避難した方が特殊だと印象づけるため。
・市の広報紙に放射線量が出ているが、見ているかという質問
→線量は下がってきており、もはや避難を続ける理由はないと印象づけるため。
これらの質問は意図が見え見えで、あまり成功していたようには思えませんでした。
1月13日(金)の原告本人尋問、1月27日(金)と2月17日(金)の専門家証人尋問までは、今回のような傍聴が続くことが予想されます。わざわざお出かけいただいて午前・午後とも抽選に外れた方には大変申し訳ありませんが、なにとぞご理解ください。
by shien_kyoto
| 2016-12-20 00:00
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